【初心者向け】セキュリティ界隈でよく聞く「MITRE」ってなに?にエンジニアが答えます

- MITRE ATT&CK
- SOC運用
- セキュリティ運用
- 脅威インテリジェンス
- サイバー攻撃手法
- CVE
- ゼロトラストセキュリティ
「あー、あのマトリックスのやつでしょ?」
「脆弱性のIDのやつ?」
はい、どちらも正解です!
でも、「MITREってなに?」と聞かれると、意外と言葉に詰まってしまったりしませんか?
実はこのMITRE、我々のようなSOC(Security Operation Center)やセキュリティ運用担当者にとっては、**「共通言語」**としてめちゃくちゃ重要な存在なんです。
今回は、今さら聞けない「MITRE」の正体と、なぜそれが運用に必要なのかを、エンジニア視点で解説していきます。
そもそもMITREって何者?
結論から言うと、MITRE(The MITRE Corporation)は、アメリカの非営利組織です。
政府の支援を受けて研究開発を行う組織(FFRDC)を運営していて、セキュリティだけでなく、航空システムや医療など、公共の利益になるような幅広い分野の研究をしています。
つまり、営利企業ではなく、 「世の中を良くするための研究機関」 というイメージが近いです。
セキュリティ業界で有名なのは、彼らが 「サイバー攻撃の情報を標準化・体系化」 してくれているからです。
よく見る「CVE」もMITREが管理
皆さんが脆弱性情報を見るときに必ず目にする「CVE-2023-XXXX」みたいなIDありますよね?
あの CVE (Common Vulnerabilities and Exposures) を管理・運用しているのも、実はMITREなんです。
「このソフトにバグがあるよ!」という情報を、世界中で同じIDで呼べるようにしてくれているおかげで、私たちは混乱せずに情報を共有できているわけです。
MITRE ATT&CK(マイター アタック)とは?
さて、ここからが本題です。
SOCや運用担当者が「MITRE」と言うとき、十中八九この**「MITRE ATT&CK (Adversary Tactics, Techniques, and Common Knowledge)」**のことを指しています。
これは何かというと、 「攻撃者が実際に使う戦術と技術のカタログ」 です。
攻撃者が、
初期アクセス(どうやって侵入するか)
実行(どうやって悪意あるコードを動かすか)
永続化(どうやって居座り続けるか)
…
といった具合に、攻撃のフェーズ(戦術)ごとに、具体的な手口(技術)を整理してマトリックス表にしたものです。
なぜATT&CKが重要なのか?
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉がありますが、ATT&CKはまさに 「敵の手口図鑑」 です。
これがあることで、私たち運用担当者は以下のようなメリットがあります。
攻撃の全体像が見える
単発のアラートだけだと「ウイルスが見つかった」で終わりですが、ATT&CKに当てはめると「これは侵入後の『横展開』のフェーズだな。ということは、すでに初期侵入は許しているかも?」と、攻撃のストーリーを推測できます。共通言語で話せる
「なんか怪しい動きがありました」ではなく、「ATT&CKのT1059(コマンドラインインターフェース)を使った実行の痕跡があります」と言えば、専門家同士で誤解なく伝わります。防御の穴が見つかる
「うちの対策製品は、この戦術には強いけど、こっちの戦術には無防備だな」という風に、対策の抜け漏れをチェックするのに使えます。
運用現場でのリアルな悩み
とはいえ……。
「理屈はわかるけど、実際に使いこなすのは大変だよ!」
というのが本音ではないでしょうか?
ATT&CKのマトリックスを見るとわかりますが、項目が膨大です。
日々のアラート対応だけで手一杯なのに、一つ一つの攻撃手法をATT&CKにマッピングして分析するなんて、リソースが足りない現場がほとんどだと思います。
「MITRE ATT&CKベースで検知ルールを作りたいけど、専門知識が必要すぎる」
「アラートが多すぎて、どのフェーズの攻撃なのか分析している暇がない」
そんな悲鳴が聞こえてきそうです。(実際、私もよく聞きますし、痛いほどわかります…)
MITREやATT&CKは強力な武器ですが、使いこなすにはそれなりのスキルと時間が必要です。
まずはどういった攻撃のフェーズに自分たちは対応できているのか/できていないのかを把握することから始めてみるといいのではないでしょうか。
まとめ
- MITREは、アメリカの非営利組織で、CVEなどを管理している。
- MITRE ATT&CKは、攻撃者の手口を体系化した「図鑑」。
- 運用に活用すると攻撃の全体像が見えるが、使いこなすのは結構大変。
- 大変なときは、プロのSOCサービスに頼るのも賢い選択!
MITREを理解することは、セキュリティ運用のレベルアップへの第一歩です。
皆さんのセキュリティ環境の現状を分析する一助になれば幸いです!



