SysmonがWindows標準搭載へ:企業のセキュリティ運用はどう変わる?

- Sysmon
- Windowsセキュリティ
- SIEM分析
- インシデント対応
- フォレンジック
Sysmonの重要性
Sysmon(System Monitor)は、Windows内部で発生する詳細なイベントを収集するツールで、従来はSysinternalsから別途ダウンロード・展開する必要がありました。今回の発表により、Windows 11やWindows Server 2025に標準搭載されることで、以下のメリットが期待できます:
- プロセス作成ログ (Event ID 1)
不審なコマンドライン実行(例:powershell -nop -w hidden)を検知可能。 - ネットワーク接続ログ (Event ID 3)
C2通信などの異常な外部接続を可視化。 - ファイル作成ログ (Event ID 11)
一時ディレクトリに生成される不審スクリプトを検出。 - プロセスアクセスや改ざん (Event ID 8, 25)
LSASSへの不正アクセスやプロセスホロウイングを検知。
これらの詳細イベントは、従来のWindowsイベントログでは得られない粒度の情報を提供し、高度な攻撃検知やインシデント対応に不可欠です。
SIEMで分析する意義
Sysmonのログは、SIEM(Security Information and Event Management)に取り込むことで真価を発揮します。
- 相関分析
プロセス作成、ネットワーク接続、ファイル操作を組み合わせることで、攻撃のライフサイクルを可視化。 - アラート精度の向上
単一イベントではノイズになりがちな情報も、SIEM上で相関させることで「攻撃の兆候」として検知可能。 - リアルタイム検知
Sysmonの詳細ログを活用することで、従来見逃されがちだったファイルレス攻撃や横展開の兆候を早期に発見。
つまり、SysmonはSIEMの「燃料」として機能し、セキュリティ運用の質を飛躍的に高めるのです。
フォレンジックの観点
インシデント発生後のフォレンジック調査においても、Sysmonログは極めて有用です。
- 攻撃経路の特定
プロセス作成やネットワーク接続ログから、攻撃者がどのように侵入・展開したかを再現可能。 - 証拠保全
詳細なイベントログは、法的対応や内部監査において信頼性の高い証拠となる。 - タイムライン構築
Sysmonイベントを時系列で並べることで、攻撃の全体像を明確化。
従来は導入・更新の手間やサポートの不在が課題でしたが、標準搭載により運用負荷が軽減され、フォレンジックの基盤が強化されることになります。
有効化の方法
「Windowsの機能の有効化または無効化」から切り替えができるようですが、
グループポリシーやIntuneによる設定変更が可能かどうかは、今後検証していきたいと思います。
SysmonイベントIDとSIEM活用例対応表
| Sysmon Event ID | 内容 | SIEMでの活用例 |
|---|---|---|
| 1 | プロセス作成 | 不審なコマンドライン実行を検知し、攻撃初期活動を特定 |
| 3 | ネットワーク接続 | C2通信や異常な外部接続を相関分析で検知 |
| 6 | ドライバ読み込み | 不正ドライバやルートキットの導入を検知 |
| 8 | プロセスアクセス | LSASSへのアクセスを検知し、資格情報窃取を防止 |
| 11 | ファイル作成 | 不審なスクリプトやマルウェアの展開を検知 |
| 13 | レジストリ操作 | 永続化の痕跡を検知し、攻撃者の持続的活動を把握 |
| 22 | DNSクエリ | 不審なドメインへのアクセスを検知し、C2通信を特定 |
| 25 | プロセスホロウイング | メモリ内での不正コード実行を検知 |
まとめ
SysmonがWindowsに標準搭載されることで、
- 攻撃検知の精度向上
- SIEMでの高度な相関分析
- フォレンジック調査の効率化
といった効果が期待できます。セキュリティ運用において「Sysmonログをどう活用するか」が、今後の大きなテーマとなるでしょう。
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