しかし、現場でよく聞くのがこんな声です。

「ログは分析できるけど、最終的に“何を判断すればいいのか”がわからない」
「アラートは出るけど、それが本当に“脅威”なのか判断できない」

これは、セキュリティ運用が次のステージに進んだときに必ず直面する壁です。

1. “分析”と“判断”の間には大きなギャップがある

ログ分析ができるというのは、
「データを可視化し、相関関係を読み取れる」状態を指します。

一方で判断は、
「それが脅威かどうか」「対応が必要かどうか」を決定する行為です。

つまり、分析は“情報処理”、判断は“意思決定”。
この間には、経験と基準という埋めがたいギャップがあります。

2. よくある「判断できない」パターン

パターン状況結果
アラートの意味がわからないDefenderやSentinelの検知内容を技術的に解釈できない“とりあえず調査中”のまま進展しない
危険度の基準がないSOC・CSIRT内で「どこからが脅威か」共有されていない担当者によって判断がバラバラ
再発防止までつながらない一度対応しても、同じ種類のアラートがまた出る対応履歴がナレッジ化されていない
“怪しいけど確証がない”で止まるログ上の挙動が微妙で決定打がないエスカレーションもクローズもできず宙に浮く

このように、「判断できない」は
単なるスキル不足ではなく、運用設計の欠如から生まれるケースが多いのです。

3. 判断できるSOCに必要なのは「基準」と「記録」

判断力を支えるのは、経験ではなく体系化された基準と記録です。

  • 対応基準を明文化する
    • 「このアラートが出たら、ここまで調べる」
    • 「この条件を満たしたらエスカレーション」
      こうした判断ラインをチーム全体で共有します。
  • リスク評価のルールを統一する
    • Severity(ツールの重要度)とRisk(自社判断)を分けて定義する。
    • 例:「同一端末で複数検知」→ リスクレベルを1段階上げる。
  • 判断ログを残す仕組みを持つ
    • 誰が、どの情報をもとに、どう判断したか。
    • BacklogやWikiなどで“判断理由”を残していくことで、再現性が高まる。

4. ツールは「分析」を自動化できても、「判断」は自動化できない

SIEM、SOAR、EDR、AIアシスタント……
これらのツールは、データの分析・整理・通知を自動化してくれます。

しかし、「組織にとってそれがどれだけのリスクか」「対応すべきかどうか」は、
ツールでは決められません。

判断とは、技術・業務・組織を横断した“意思決定”だからです。

5. Colorkrew Securityの支援

Colorkrew Securityでは、次のような形で
「判断できるSOC運用体制」を支援しています。

  • 検知ルールのチューニングとリスク評価基準の整備
  • 対応基準の設計とドキュメント化
  • 判断記録・再利用の仕組み(ナレッジ化)

ログを見るだけのSOCから、
判断し、改善できるSOCへ。

私たちはその“運用の成熟化”をともに設計し、運用いたします。