不正のトライアングルとは?

「不正のトライアングル」は、以下の3つの要素が揃ったときに不正が起こるとされるモデルです。

  1. 動機(Motivation / Pressure)
  2. 機会(Opportunity)
  3. 正当化(Rationalization)

1. 動機(Motivation / Pressure)

人が不正に走る理由はさまざま。たとえば:

  • 経済的な困窮
  • ギャンブルや投資の失敗
  • 業績ノルマのプレッシャー
  • 昇進や評価への焦り

対策ポイント

・社内相談窓口の整備:メンタルヘルス・生活相談などの支援体制を整備

・ノルマ・目標の再評価:無理な業績プレッシャーを避け、現実的なKPI設計を


2. 機会(Opportunity)

「やろうと思えばバレない」環境が不正を生みます。

  • アクセス権限が過剰
  • ログが取られていない or チェックされていない
  • 管理者の監視がゆるい

対策ポイント

対策説明
最小権限の原則必要な範囲だけアクセスできるようにする
ログ管理と定期レビューSIEMやEDRのログを使って可視化とモニタリング
職務分掌権限が一人に集中しないような体制づくり

3. 正当化(Rationalization)

「これは不正じゃない」「会社が悪い」など、行為を自分の中で正当化する心理状態です。

  • 「残業代が出ないから、これくらい許される」
  • 「自分のアイデアなのに会社に搾取された」
  • 「周りもやっている」

対策ポイント

対策説明
倫理教育の実施倫理観や判断力を鍛える研修、ケーススタディ導入
公正な評価制度不満や不信を生みにくい評価・報酬設計

実際にあった内部漏洩の例

ケース:某メーカーでの設計図データ持ち出し事件

背景:
ある中堅エンジニアが、転職直前に製品の設計図データをUSBで持ち出し。新しい勤務先が競合企業であったことから、深刻な知財リスクに。

 

動機:将来への不安、転職先での優位性獲得

機会:フルアクセス権限が付与されていた

正当化:「自分が作った図面だから問題ない」

 

備えとして有効だった対策:

  • 設計図データへのアクセス制限(機密度による管理)
  • USB制御+ログ監視(DLP製品など)
  • 退職者アカウントの即時停止+事前監視(SIEMやMDE活用)

まとめ

不正のトライアングルを理解することで、単なる「社員の裏切り」として片付けるのではなく、組織としての改善点が見えてきます。

  • 人を信じつつも、仕組みで守る
  • 技術的対策と心理的配慮のバランスをとる
  • 早期の兆候を「見える化」する

機会への対策はDefenderの導入などで取りやすいですが、情報セキュリティは「壁を高くする」だけでは守れません。人の心理と環境に向き合うことが、本当の対策かもしれませんね。

内部不正対策にお困りのことがあれば、Colorkrewにご相談ください!