こんにちは!Colorkrew Securityの事業リーダーの西田です。
Microsoft Sentinelには便利なテンプレートがたくさん用意されていますが、
「自社に合ったアラートがない」「もう少し細かく条件を指定したい」
そんなときに必要になるのが カスタムアラート の作成です。

本記事では、Sentinelでゼロからアラートルールを作成する手順を解説します。

1. カスタムアラートとは?

カスタムアラートは、自分で条件を設定してアラートを作成する仕組みです。
テンプレートではカバーしきれない「特定のIPへのアクセス」「特定ユーザーの挙動」などを、自由に定義できます。

主な用途は以下のとおりです。

  • 自社特有のセキュリティポリシーに基づいた検知
  • 特定のサブネットやリソースに限定した監視
  • 社内SOCや運用チーム向けの通知トリガー

2. 作成手順の概要

以下の手順でカスタムアラートを作成できます。

  1. Microsoft Sentinel → [分析(Analytics)] を開く
  2. 「+ 作成(Create)」をクリック
  3. ルールの種類を「スケジュール済みクエリルール(Scheduled rule)」で選択
  4. ルール名、説明、クエリ、スケジュールなどを設定
  5. 通知方法や自動応答(プレイブックなど)を指定
  6. 「作成」で有効化

3. クエリの例と考え方

アラート作成の中核になるのが KQL(Kusto Query Language) によるクエリです。
下記は簡単な例です。

例:海外IPからのサインインを検知するクエリ

kql

SigninLogs
| where Location !contains "Japan"
| where ResultType == 0
| project UserPrincipalName, IPAddress, Location, TimeGenerated

このように、「どのログを対象にして」「どんな条件を満たすときに」「何を表示するか」を組み立てていきます。

4. スケジュールと通知の設定

クエリが完成したら、次は以下の内容を設定します。

  • 実行頻度
    15分ごと、1時間ごとなど
  • 検出条件
    例:1件でもヒットすれば通知、10件以上で通知など
  • 通知内容
    • インシデントを自動作成するか
    • セキュリティチームへ通知するか
    • Logic Appsなどでプレイブックを起動するか

※ 通知はあとから「自動化ルール(Automation)」と連携させることも可能です。

5. 作成後のチェックポイント

カスタムアラートを作成したら、以下の点を確認しましょう。

  • クエリの結果が期待どおりになっているか(Logsで事前テスト)
  • 過検知や誤検知が発生していないか(条件の厳しさを調整)
  • 通知やプレイブックが正しく動いているか(テスト用ログで確認)

アラートは作って終わりではなく、継続的な改善が必要です。

6. まとめ:カスタムアラート設計のポイント

項目内容
目的を明確にする何を検知し、誰に知らせたいのかを最初に定める
クエリをテストするLogsで事前にクエリを実行して想定どおりか確認
継続的に改善する誤検知・漏れをなくすため、定期的にクエリを見直す

テンプレートではカバーできない監視や通知は、カスタムアラートで柔軟に補完することができます。
さらに高度な検知ロジックや自動対応を導入したい場合は、Colorkrew Securityまでお気軽にご相談ください。